【専門コラム】 ダイヤモンド財務®の着眼点

当コラムは、次世代経営者の方々へ、気づきやヒント・エールをつづった専門コラムです。
特に、「目隠し運転で高速道路を走るような感覚」をお持ちの後継社長の方々、「事業は順調なはずなのに何故かお金が残らない」と感じられているオーナー社長の方々、ぜひご活用下さい。(毎週水曜日更新)

第156話:決断できない社長が会社を潰す理由

 

第156話:決断できない社長が会社を潰す理由

「舘野先生、人事評価の時期になると、各事業の部門長や各営業所の所長が、売上ばかり強調してきて給与アップを迫ってくるんです。ウチの会社は、3つの事業と5つの営業所があるんですが、どこがどのように儲かっているのか、イマイチよくわからなくて・・・。」社長に就任して3年経過された、とある近畿地方の二代目社長さんの言葉です。

複数の事業があれば、当然、それぞれでの稼ぎ方は変わってきますから、結果的に手元に残るお金の残り方が異なってくるものです。どんな会社であっても、複数の事業を行っていたり、複数の商材を取り扱っていたりするものです。

例えば、わかりやすい身近な例で説明すると、ある会社が、賃貸用のマンションを建設する事業と、自社で建設した賃貸用マンションの賃貸管理をするという2つの事業を行っていたとします。

建築事業、つまり、マンションを建てるには、平均6ヶ月かかるとしたら、工事が終わるまで、工事にかかった材料や人件費などは、未成工事支出金として、会社側が一時的に立て替え払いをするような形になります。

もちろん契約内容によっては、工事着手前の着手金や中間金などもありますが、すべて入金されるのは、工事がすべて終わった段階になりますので、それまでの運転資金をちゃんと確保しておかないと資金繰りが行き詰まってしまいます。ただし、工事さえ無事終われば、まとまった金額の資金がドーンと入金されます。したがって、建築事業の場合は、資金の多寡の波が激しいのが特徴です。

その一方で、管理事業は、管理スタッフの人件費は必要になるものの、基本的に小資金で運営することができます。毎月のコストもほぼ定額で、売上も家賃収入の5%など、ほぼ定額です。したがって、建築工事と比べれば1件あたりの金額は少ないものの、将来の見通しが立てやすく、キャッシュフローも安定しやすいのが特徴です。

このように、どんな会社であっても、複数の事業が絡み合って最終的な「利益」を稼ぎ出しているものなのです。「建築事業」と「管理事業」のようにわかりやすいものであれば良いのですが、実際のところは、もっと複雑で、わかりづらくなってしまっているのが大半です。

しかし、PL(損益計算書)には、自社が抱える経営課題が数字として表現されてきます。例えば、自社の商品力が落ちてきたら、必然的に売上が落ちてきたり、あるいは、粗利率が下がったりするなどの異変が、必ずといっていいほど現れています。

財務中心の会社づくりができている会社は、常に自社の数値情報が瞬時にわかるようになっているため、決断すべきときに決断を下すことができます。

その一方で、財務中心の会社づくりができていない会社は、いつまでたってもなかなか決断することができません。なぜなら、社長自身が経営判断を下すための材料がそろっていないからです。

よく、「自分は優柔不断で、なかなか決められないんです」というご相談を受けることがあります。中には、本当に優柔不断かも・・・?!と思われる方も少なからずいらっしゃるものの、ほとんどの場合は、決めるだけの材料がそろっていないだけだったりするものです。

社長が安心して日々の経営の舵取りを担えるようにするためには、財務中心の会社づくりを行うことで、タイムリーに「攻める経営」・「守る経営」・「捨てる経営」の3つの決断を行えるようにすることが最も重要なのです。

特に、二代目社長・三代目社長などの後継社長ほど、財務中心の会社づくりが不可欠なのです。なぜなら、高度経済成長の波に乗って会社を大きくしてきた創業社長の多くは、「KKD経営」で経営の舵取りをしてきたからです。(KKD経営とは、勘・経験・度胸のことです。)

今は、低成長の経済環境下にあり、どの業種・業界でも、たいへん厳しい経営環境下ですから、社長自らが「決断を下せない」こと自体がリスクであり、また、決断を下すにしても、その成功の確度を高めるための仕組みが不可欠なのです。

あなたの会社には、正しい「決断」を下すための仕組みがありますか?
あなたは社長として、「攻める」「守る」「捨てる」経営が出来ていますか?

 

ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛

 

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