【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 お金を残す経営財務
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なぜ、多くの社長が「経理」と「財務」を混同するのか?
第85話:なぜ、多くの社長が「経理」と「財務」を混同するのか?
「舘野先生、会社のお金のことは経理担当者が一番わかっているはず・・・と思い込んでいました。でも、それが大きな勘違いであるということに、やっと気が付きました。」昨年、創業者である先代社長から事業を引き継いで1年が経過した、とある東北地方の二代目社長さんの一言です。
当社では、事業承継をこれから控えている後継社長さんや、事業承継を終えられた直後の後継社長さんからのご相談をお受けするケースが多いのですが、事業承継の過程において、多くの後継社長さんが勘違いをしてしまう悩ましい「思い違い」がある・・・ということを感じています。
それは、どういったものでしょうか?
具体的には、先代社長から会社経営にまつわるお金の話の引継ぎを受ける時に生じるものです。例えば、先代社長から財務関連の話について引き継ぎを受ける段階になると、多くの場合、「会社のお金のことは、経理の○○さんが良く分かっているから、詳しいことは○○さんから話を聞いて・・・」といわれてしまうのです。
営業にまつわることや、研究開発・技術などの話では饒舌に語る先代社長であっても、イザお金の話となると、急に「会社のお金のことは、経理の○○さんに任せておけば大丈夫だから」とか「経理の○○さんが、会社のお金のことは良く分かっているから」となってしまうのです。
しかし、実際のところは、経理の○○さんが知っているのは、あくまでも『過去』のお金の動きであって、「今あるお金をこれからどう動かしていくべきなのか?」とか「これから会社のお金をどうやって増やしていこうか?」といった『未来』のお金の動きに関しては、全くもってワカラナイ話なのです。
ですから、イザ経理の○○さんに会社のお金のことを聞いたとしても、大体返ってくる返事は、「先代社長の指示で、ずっとこのようにしています」とか「詳しいことは、先代社長に聞いてください」と、逆に冷たく言い放たれてしまったりして、結局、「誰も答えを持っていない」という悩ましい現実が、明るみになってくるのです。
したがって、そのような悩ましい事態を回避するためには、まず、社長は「経理」と「財務」の業務は、全く違うものであるということを正しく認識しておかなければならないのです。
では、「経理」と「財務」の違いとは、具体的にどのようなものなのでしょうか?
経理の業務は、「既に動いたお金の管理をすること(日々の取引の記帳・決算書の作成)」であり、視点は「過去」になります。
経理の役割は、正しい記帳や、早くて正確な月次決算報告・年度決算報告が最も重要な役割となります。したがって、業務の性質上、どうしても視点が「過去」になってきます。社長は、この点を正しく認識して経理担当者を活用していかないと、いつまでたっても認識のズレが生じてしまうのです。
それに対して、財務の業務は、「これから動かすお金の管理(資金繰り・資金調達・計画策定など)」であり、あくまでも視点は「未来」になります。
財務の役割は、日々のお金の流れを管理し、資金がショートしないように資金繰りを考え、財務基盤を強化しながら資金を創出するための意思決定をしていきます。さらに、必要に応じて資金調達の計画立案や金融機関との折衝をすることだってあります。
思考の起点は、「いかにお金を残すか」であり、そのための意思決定を伴いますから、当然、経営者でなければその責務を全うすること自体難しくなってきます。
お金(キャッシュ)は、会社経営にとっての血液のようなものであり、財務は、事業永続のためのキーポイントになってきます。だからこそ、安定経営・永続的繁栄を願う社長が、人知れず財務中心の会社づくりをしているのです。
特に、同族会社の場合は、会社と社長個人が表裏一体という要素を多分に含んでいます。したがって、財務は「社長の実務」と考え、社長自身が正面から財務に向き合っているかどうかによって、会社の寿命が変わってくるといっても過言ではないのです。
しかし、多くの場合は、「経理」と「財務」を混同して考えてしまうため、「財務」を誰も把握しておらず、事業永続のキーポイントとなる「財務」が、成行き任せになってしまう傾向にあります。
特に、後継社長ほど、事業承継の過程で「財務」の重要性を知る機会が失われがちなのです。
したがって、後継社長こそ、「財務」は事業承継の盲点でありながら、事業継続のキーポイントであるということを、強く認識しておかなければならないのです。
あなたは、「経理」と「財務」の違いを正しく理解できていますか?
あなたの会社には、真に会社にお金を残すための財務戦略がありますか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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社長と会社にお金が残る仕組みづくりの専門家
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