「儲かる会社」と「儲からない会社」の社長の分岐点
儲からない会社の社長には、いくつかの共通点があります。
それは、能力や性格の問題ではありません。売上だけを追い、利益と現金を同じものとして考え、投資や借入を勘と経験だけで決めてしまうなど、経営判断の基準が整っていないことです。
売上が増えていても、借入金の返済、設備投資、売掛金や在庫の増加によって、会社の現金は減ることがあります。反対に、儲かる会社の社長は、売上だけでなく、必要利益、手元資金、6か月後の資金残高まで確認して判断しています。
この記事では、「儲からない会社」と「儲かる会社」を分ける社長の判断の違いと、会社にお金を残すために必要な財務のモノサシを解説します。
第173話:「儲かる会社」と「儲からない会社」の社長の分岐点
「舘野先生、会社のナンバー2が、売上を増やすことしか考えていないのです。売上は伸びていますが、それ以上にお金が出ていき、手元に残りません。」
これは、社長に就任した40代の3代目社長から伺ったご相談です。
ナンバー2を務めるのは、先代と長年会社を支えてきた親族の専務でした。現場経験が豊富で、売上をつくる力もあります。一方で、現在の社長は、投資額や資金繰りまで含めて会社を運営しなければならず、経営方針の違いに悩んでいました。
同族会社の世代交代では、後継社長が古参幹部の経験を尊重しながら、自分の判断基準をつくらなければならない場面があります。売上を増やすことだけを共通目標にすると、会社の現金が減っている事実を見落とすことがあります。
儲からない会社の社長に共通する5つの特徴
1.売上を増やすことだけを最優先にする
売上は会社経営に欠かせません。しかし、売上を増やすために採用、広告、在庫、設備投資を増やせば、入金より先に現金が出ていくことがあります。売上高だけで順調と判断せず、その売上からいくらの利益と現金が残るのかまで確認する必要があります。
2.利益と現金を同じものとして考える
決算書に利益が出ていても、その利益と同じ金額が預金口座に残るわけではありません。借入金の元本返済、設備投資、税金、売掛金や在庫の増加によって現金は減ります。「黒字だから大丈夫」と考えるのではなく、利益が最終的にどれだけ現金として残るかを見ることが大切です。
3.必要利益を考えず、節税を先に考える
税金を抑えること自体が目的になると、不要な支出を増やし、会社に残すべき現金まで減らすことがあります。先に考えるべきなのは、借入金返済、設備更新、将来の投資、会社と家族を守るために、いくらの利益が必要なのかです。必要利益を決めたうえで、適切な税務対策を検討します。
4.投資や借入を勘と経験だけで決める
経営者の勘と経験は重要です。ただし、採用、設備投資、新規事業、借入など金額の大きい判断では、計画通りに進まなかった場合の現金残高も確認する必要があります。「できそうだから進める」だけでなく、「実行後も会社を守る現金が残るか」を数字で確かめます。
5.経営判断のモノサシを持っていない
儲からない会社では、投資をする基準、借入をする基準、事業を続ける基準が明文化されていないことがあります。そのため、社長の気分や周囲の意見によって判断が変わります。必要利益、手元資金、借入返済、将来の資金残高を一つにつなげた社長専用のモノサシが必要です。
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「儲かる会社」と「儲からない会社」を分ける社長の判断
両者の分岐点は、売上をつくる力の有無だけではありません。会社の未来を考え、利益と現金をどのように残すかを判断できるかどうかです。
儲からない会社では、売上が増えれば問題が解決すると考え、足りない現金は借入で補い、利益が出れば節税を優先します。判断が目先の対応になりやすく、会社に残るお金を計画できません。
一方、儲かる会社では、未来の投資や返済から必要利益を逆算し、6か月先の現金残高を確認します。そのうえで、今は攻めるべきか、守るべきか、あるいは不採算事業や不要な支出を捨てるべきかを決めます。
つまり、儲かる会社は、売上を増やす仕組みだけでなく、お金を残す仕組みを持っているのです。
儲かる会社へ変える3つの財務習慣
1.会社に必要な利益を先に決める
まず、借入金返済、税金、設備更新、将来の投資、最低限残したい現金を整理します。そのために必要な利益を逆算し、売上目標と粗利益目標へ落とし込みます。「黒字ならよい」ではなく、「会社を守り、成長させるために必要な利益はいくらか」を社長自身が決めます。
2.6か月先の資金残高まで確認する
現在の預金残高だけで判断せず、今後の入金、支払い、税金、借入返済、設備投資を反映し、6か月先までの資金残高を確認します。資金が減る時期を早く把握できれば、回収条件の見直し、支出の延期、金融機関への相談など、選択肢を持って対応できます。
3.「攻める・守る・捨てる」を数字で決める
すべての投資を止めれば、会社は成長できません。反対に、すべての成長機会へ投資すれば、現金が足りなくなります。採用や設備投資を進める「攻める経営」、現金と利益を確保する「守る経営」、不採算事業や不要な支出を整理する「捨てる経営」を、会社の財務状態に応じて選びます。
後継社長こそ経営判断のモノサシを持つ
2代目・3代目社長は、先代の経験や古参幹部の意見を尊重しながら、自分の責任で会社の未来を決めなければなりません。
先代と同じ環境が続くとは限らず、原材料費、人件費、金利、採用環境も変化します。過去の成功体験だけを基準にすると、現在の会社に必要な利益や現金を見誤ることがあります。
大切なのは、先代や幹部の経験を否定することではありません。その経験を数字で確かめ、会社の未来に合う判断へ変えることです。財務は、後継社長が周囲と共通認識をつくり、自信を持って決断するための土台になります。
関連記事:二代目・三代目社長こそ財務を重視すべき理由
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社長の判断基準が、会社に残るお金を変える
儲からない会社と儲かる会社の違いは、社長の能力や性格だけで決まるものではありません。売上、利益、現金を一つにつなげ、未来から逆算して判断する仕組みがあるかどうかです。
売上だけを追う経営から、必要利益と将来の現金を確認する経営へ。勘と経験だけで決める経営から、数字で確かめて決める経営へ。
社長の判断基準が変われば、会社に残るお金も変わります。まずは、自社に必要な利益と、6か月後の現金残高を確認することから始めてください。
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