【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 同族経営

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同族経営とは|メリット・デメリットや成功する2代目社長の条件

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「舘野先生、父から会社を引き継いでもうすぐ1年になりますが、正直戸惑うことばかりです。古参社員は『坊ちゃん』扱いで話を聞いてくれないし、先代のやり方を変えようとすると反発されます。同族経営って、本当に難しいですね…。」ある東海地方の会社を引き継いだばかりの2代目社長さんからのご相談です。

当社は、同族会社専門の財務コンサルティング機関(社長と会社にお金が残る仕組みづくり)なので、全国各地より、同族会社の社長さんから会社経営にまつわるお金の悩みのご相談が寄せられます。

この記事では、同族経営の特徴やメリット・デメリットから、2代目社長が直面しがちな課題、そして同族経営を成功させるために必要な条件まで、具体的に解説します。

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同族経営とは

同族経営は、日本企業の大半を占める経営形態です。中小企業はもちろん、誰もが知る大企業や上場企業にも多く見られます。

しかし「同族経営」と聞くと、ネガティブなイメージを持つ方もいるかもしれません。実際には、同族経営ならではの強みを活かして成功している企業も数多く存在します。

ここでは、同族経営の特徴や現状、そして成功している企業の例を見ていきましょう。

同族経営の企業の特徴・現状

同族経営とは、特定の家族や親族が会社の株式と経営権を握り、強い影響力を持って運営する企業形態のことです。

「ファミリービジネス」「ファミリー企業」「オーナー系企業」「家族経営」や「同族企業」とも呼ばれます。

同族経営は、日本の企業において非常に一般的な形態です。実際、日本の中小企業の約90%以上が同族経営であり、上場企業でも約50%が同族経営の形態をとっています。

これらの同族経営企業は、地域の雇用を守り、景気に左右されない「我慢強い投資」を続けることで、日本経済を支える重要な役割を果たしています。

成功している同族経営の企業

同族経営は中小企業特有のものではありません。以下のような大手企業・上場企業、さらにはあえて上場しない非上場の優良企業も多く存在します。

【主な大手・上場企業一覧】

トヨタ自動車、サントリーホールディングス、小林製薬、象印マホービン、キーエンス、キッコーマン、星野リゾート、スズキ

【あえて上場しない非上場の優良企業一覧】

竹中工務店、JTB、ヤナセ、ロッテ、アイリスオーヤマ、YKK、佐川急便、岡三証券グループ

これらの企業は、同族経営ならではの長期的な視点と強固な経営基盤を活かし、各業界で確固たる地位を築いています。

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同族経営の企業ならではの3つのメリット

一般企業にはない、同族経営企業が持つメリットは以下のとおりです。

長期的視点に基づいた「持続的経営」が可能

同族経営の最大のメリットは、短期的な利益や株主の顔色に囚われず、次世代を見据えた投資ができる点です。

一般的な上場企業の場合、四半期ごとの業績や株価を常に意識しなければなりません。そのため、短期的な利益を優先せざるを得ない場面も出てきます。

一方、同族経営の企業は、創業家が長期的に会社を支配しているため、10年後、20年後を見据えた投資判断が可能です。

たとえ一時的に利益が減っても、将来の成長のために必要な設備投資や人材育成に資金を投じることができます。

このような「持続的経営」の視点が、同族経営企業の強みとなっています。

迅速な意思決定とトップダウンの機動力

同族経営のもう一つの大きなメリットは、意思決定のスピードです。

資本と経営が分離している一般企業の場合、重要な決定をする際には、株主総会や取締役会での承認が必要になります。そのため、意思決定に時間がかかり、ビジネスチャンスを逃してしまうこともあります。

一方、同族経営の企業では、経営者が株主でもあるため、重要な判断を迅速に下すことができます。特に、市場環境が急激に変化した時や、緊急の対応が必要な時には、この機動力が大きな武器となります。

有事の際に素早く舵を切れることは、同族経営ならではの強みと言えるでしょう。

企業理念の浸透と強固な求心力

同族経営では、創業者の想いが親族を通じて次世代に継承されます。そのため、企業理念が組織全体に深く浸透しやすいという特徴があります。

「家業」としての誇りが、社員の間にも強い一体感を生み出します。創業者の理念に共感した社員が集まり、長く会社に貢献してくれることも少なくありません。

また、経営者と社員の距離が近いため、組織の一体感や求心力が強くなりやすいのも同族経営の特徴です。

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同族経営の企業が抱えるデメリット

同族経営には多くのメリットがある一方で、特有のデメリットも存在します。これらのデメリットが「同族経営の企業はやばい」と揶揄される要因ともなっています。

公私混同によるガバナンスの形骸化

同族経営で最も問題になりやすいのが、会社を「個人の持ち物」と混同してしまうことです。

具体的には、経費の私的利用や、ワンマン社長による暴走した経営判断などが挙げられます。

家族や親族の個人的な支出が会社の経費として計上されたり、社長の独断で無謀な投資が行われたりすることもあります。

このような公私混同が続くと、社員のモチベーションが下がり、会社全体のガバナンス(統治)が機能しなくなってしまいます。

親族間の感情的な対立から生じるお家騒動リスク

同族経営では、家族・親族間の確執が、そのまま経営に影響するリスクがあります。

相続問題や経営方針の違いから、親族間で対立が起きることは珍しくありません。そして、その対立が表面化すると、社長解任などの大きな騒動に発展し、会社全体を巻き込んでしまうことがあります。

家族の問題が会社の問題となり、最悪の場合、会社の分裂や倒産につながることもあります。このようなお家騒動のリスクは、同族経営特有のデメリットと言えるでしょう。

外部の人材登用の難しさ

同族経営の企業では、家族・親族が優遇される場合が多く、外部から優秀な人材を登用しても定着しにくいという問題があります。

どんなに能力があっても、「結局、重要なポジションは親族が占める」という現実を目の当たりにすると、外部人材のモチベーションは下がってしまいます。

「どうせ親族が優遇される」という諦めの気持ちから、優秀な社員が会社を離れてしまったり、社員全体の士気が下がったりすることも少なくありません。

後継者が限定される

同族経営の企業の場合、後継者はほぼ家族・親族から選ばれます。

しかし、親が有能な経営者であっても、その子どもや親族が同じように経営能力を持っているとは限りません。

経営者としての資質や情熱がない人物が、「家の跡取り」という理由だけで社長になってしまうケースもあります。

本来であれば、能力のある社員の中から後継者を選ぶという選択肢もあるはずですが、同族経営ではその可能性が限られてしまいます。

税制上の特別規定により税負担が重くなる

同族経営の企業には、税制上の特別規定が設けられています。

これは、同族経営の企業では不当に租税負担を回避・減少させる行為が行われやすいため、それを防ぐための措置です。そのため、一般企業と比べて税負担が重くなる場合があります。

このような税制上の不利な扱いも、同族経営のデメリットの一つと言えるでしょう。

2代目社長が直面する「同族経営あるある」

同族経営の2代目社長は、先代との関係や組織作りに加え、無意識のうちに「財務の落とし穴」にはまっていることが少なくありません。

2代目社長特有の悩みには、大きく分けて「組織・人間関係」の問題と、「財務・経営判断」の問題があります。

組織・人間関係の「同族経営あるある」

  • 先代(会長)がいつまでも現場に介入する

代表権を譲ったはずなのに、重要事項が社長を通さず会長に決まってしまう。2代目社長が決めたことが、先代の一言でひっくり返されてしまうこともあります。

  • 古参社員・親族社員の扱い

「坊ちゃん」扱いされて意見を聞いてもらえない、あるいは先代への忠誠心が強く、新しい改革に抵抗される。長年会社を支えてきた社員ほど、変化を嫌がる傾向があります。

  • 公私の区別が曖昧

親族の個人的な支出が経費として計上されており、社員に対して示しがつかない。このような状況では、社員のモチベーション維持が難しくなります。

財務・経営判断の「同族経営あるある」

  • 無理な売上拡大

「先代を超えたい」という焦りから、利益率を度外視した受注や過剰な営業を行ってしまいます。売上は増えても、利益が残らず、結果的に資金繰りが苦しくなります。

  • 場当たり的な資金調達

お金の流れが見えていないため、キャッシュが足りなくなると銀行借入で急場をしのぐことを繰り返します。しかし、根本的な問題が解決されていないため、また同じ状況に陥ります。

  • 間違った節税対策

「税金を払いたくない」という思いから、手元にキャッシュが残らないような無駄な投資や保険加入をしてしまいます。節税にはなっても、会社のお金は減っていきます。

  • 「経理」と「財務」の混同

過去の結果をまとめる「経理」はいても、未来の「財務」に対する視点を持つ人材がいません。そのため、先を見据えた経営判断ができず、いつも資金繰りに追われることになります。

同族経営を成功させる「2代目社長の条件」

同族経営を成功に導くためには、2代目社長が以下の条件を満たすことが重要です。

「属人的な経営」から「組織的な仕組み経営」への脱却

社長のカリスマ性や「勘」に頼る経営から、誰が担当しても成果が出る「仕組み」を構築することが大切です。

先代社長の時代は、社長の経験と勘で経営判断をしても何とかなったかもしれません。しかし、これからの時代は、社長一人の力だけでは限界があります。

業務をマニュアル化し、誰でも一定の成果が出せる仕組みを作ることで、会社は安定した成長を続けることができます。

透明性の高い評価制度とガバナンスの構築

身内びいきを排除し、親族・非親族を問わず「成果と貢献」で評価する仕組みを作ることが必要です。

「社長の息子だから」という理由で優遇されることがあれば、他の社員のモチベーションは下がります。

公平な評価制度を作り、能力のある人材が正当に評価される環境を整えることが大切です。

また、会社のガバナンス(統治)を強化し、透明性の高い経営を心がけることで、社員や取引先からの信頼を得ることができます。

客観的なデータに基づく意思決定の徹底

感情や情実ではなく、財務データや市場分析に基づいた意思決定を行うことが重要です。

同族経営では、「先代がこう言っていた」「親族の誰々がこう言っている」といった感情的な判断がされがちです。しかし、これでは正しい経営判断はできません。

大切なのは、数字に基づいて冷静に判断することです。会社のお金の流れを正確に把握し、どの事業が利益を生んでいるのか、どこに無駄があるのかを明確にする必要があります。

財務データをもとに経営判断をすることで、感情に左右されない、筋の通った経営ができるようになります。

公私混同を断つ「財務の透明化」と「適正な資産管理」

先代からの「どんぶり勘定」や「会社と個人の資産の混同」を排除し、親族外の幹部や金融機関が納得する財務構造を作ることが必要です。

会社のお金と個人のお金をしっかりと分け、透明性の高い財務管理を行うことで、社員や銀行からの信頼を得ることができます。

また、適正な資産管理を行うことで、事業承継の際のトラブルを防ぐこともできます。財務を透明化することは、同族経営を成功させるための基盤となります。

まとめ|財務の実務がこの先100年続く会社を作る

同族経営には、長期的な視点での経営や迅速な意思決定といった大きなメリットがあります。一方で、公私混同や後継者問題、お家騒動といったリスクも抱えています。

特に2代目社長は、先代からの「売上至上主義」の考え方を引き継いでしまうことで、知らず知らずのうちに会社を苦しめる経営判断をしてしまいがちです。

しかし、これらの問題の多くは「財務」の視点を持つことで解決できます。

会社にお金を残す仕組みを作り、客観的なデータに基づいた経営判断を行う。公私混同を排除し、透明性の高い財務管理を実践する。こうした「財務中心の経営」こそが、この先100年続く会社を作る土台となるのです。

ダイヤモンド財務の社長は、財務の視点を持ち、会社にお金が残る仕組みを作ります。その結果、社員や家族を守り、長く安定した会社経営を実現します。

 ガラス財務の社長は、売上至上主義のまま、場当たり的な経営判断を続けます。その結果、借入依存・資金不足・赤字体質に陥り、いつまでも経営の苦しさから抜け出せません。

社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。

あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?

 

この記事の執筆者:舘野 愛(同族会社専門 ダイヤモンド財務®コンサルタント)

 

 

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