【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 お金を残す経営財務

社長が経営判断を誤る根本原因とは?

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「舘野さん、先日、顧問税理士に『今期から引当金の計上を実施したい』と伝えたら、『そんなことは無駄だから、辞めた方がいい』っていわれてしまったんです。経営に活かせる決算書にしたいだけなのに・・・、全く困ったものです。」北陸地方のとある二代目社長さんからのご相談です。

当社は、月20社限定という独自のスタイルで、全国各地にある経営に前向きなオーナー社長・後継社長のご支援をさせて頂いておりますが、時折、冒頭のようなビックリ(?)するお話を伺うことがあります。冒頭のご相談も、いわばその一例にすぎません。

少し会計的な表現になってしまいますが、「引当金」は、「将来支出が見込まれる大きな出費に備えて、予め準備しておく費用の見積り金額」のことを言うのですが、現実問題として、多くの中小企業においては、正しく計上されていることもあれば、そうでないケースもあります。

個々の会社の事情によって理由は様々ですが、正しく計上されていない多くの場合は、往々にして引当金に対する認識が低いものです。もっというと、日本の中小企業の決算書の作成にあたっては、多くの場合、税理士が作成の支援をしています。ですから、どうしてもその着眼点は、どちらかというといわゆる「税法ベース」で作られたものになりがちなのです。

税法ベースとは、簡単なイメージでいうと、「あくまでも決算書は、税金を早く正確に計算するための、課税所得(税金計算の基礎となる所得)を確定させるもの」という視点になってきます。したがって、本来計上すべき会計基準に沿った収益や費用などの計上がなされていないケースが実際のところは多々あるものなのです。

そして、その事実を経営者自身が理解した上で作成しているというケースもあれば、その事実を経営者自身が認識しないままに作成されているケースもあります。

前者の「その事実を経営者自身が理解した上で作成している」というのであれば、極端な話、自己責任の問題になります。しかしながら、実務の現場で大変悩ましく感じるのは、後者の「その事実を経営者自身が認識しないままに作成されている」場合です。

これは、非常にシンプルで、簡単な話です。社長が、自社の実態を正しく反映していない決算書を信じ、それを「正」として日々の経営判断を行ったら、どうなってしまうのか・・・?ということです。

将来発生することが見込まれるリスクを予測せず、また、金銭的に発生するであろう金額を数字で押さえていないということ自体が、経営者にとっての最大のリスクであり、これこそが自社の経営判断を誤らせる根本原因なのです。

そして、その結果は、火を見るよりも明らかです。

もっといえば、日本税理士会連合会・日本公認会計士協会・日本商工会議所・企業会計基準委員会の民間4団体が、「中小企業の会計に関する指針」を作成して公表しています。その中には、引当金に関しても、「将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失とし、引当金に繰入れなければならない。」と明確に記されているのです。

具体的には、下記の4要件を満たす場合は、引当金の計上が義務付けられています。
①将来の特定の費用又は損失であること。
②発生が当期以前の事象に起因していること。
③発生の可能性が高いこと。
④金額を合理的に見積もることができること

確かに引当金は、税務上の費用としては認められないため、申告書を作成する過程では、「加算・留保」という申告調整のひと手間が生じます。ですが、だからといって引当金の計上を「無駄だからやめる」とか「面倒だからやらない」「計算の仕方がわからないから拒否する」といった次元の話ではないのです。

決算書の信ぴょう性を担保し、正しい経営判断を下すための根拠となる決算書を、正しい会計基準に則って処理するのは、至極当然の話なのです。何も上場企業のように、資産除去債務を計上せよとか減損損失引当金など細かく計算せよという話ではありません。

最も大切なことは、社長にとって、自社の決算書から得られる情報が、タイムリーで正確な経営判断を下すために有用な情報になっているかどうかということなのです。

あなたの会社の決算書は、自社の現状を正しく映し出す鏡になっていますか?
自社の決算書の透明性を高める努力をしていますか?

ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛

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