【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 お金を残す経営財務
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なぜ、多くの社長に「財務」戦略がないのか?
第73話:なぜ、多くの社長に「財務」戦略がないのか?
「舘野先生、中小企業の社長って、ほとんどが『財務』をゼンゼン知らないで経営していますよね。まあ、私自身も痛い目にあって初めて知ったのですが・・・。」数年前、事業存続の危機に瀕したことをキッカケに財務中心の会社づくりをスタートしたとある近畿地方の二代目社長さんからの一言です。
当社では、「時代の変化や経済環境の逆風に負けない強い会社づくりがしたい!」「地域ナンバーワン・業界トップ企業を勝ち取りたい!」「未来を創造する財務戦略で100年企業を目指したい!」そんな経営に前向きな社長を全国各地で支援しているため、日々、実務の現場で様々なお声を頂戴することがあります。
当社の門戸を叩いて下さる社長の多くは、二代目社長・三代目社長などの後継社長が大半のため、冒頭のようなお話は大変よく頂きますし、決して珍しい話でもありません。
多くの後継社長は、事業承継を受ける過程で営業のことや研究開発・技術などに関する引き継ぎはされているけれど、その一方で事業永続のキーポイントとなる「財務」のことに関しては、ノータッチのままで社長に就任してしまうケースが大多数を占めるからです。
そんなこともあって、会社経営にまつわるお金に関する関心事といえば、節税対策や資金調達ぐらいで、「財務」となると急にわからなくなってしまう・・・という社長がほとんどなのです。
ですから、もし、今の現状が、目先の仕事と資金繰りに追われてしまっていて、今のことしか考えられない、あえて言うなら「税金を払いたくないから節税したい・・・」「銀行からもっと低い金利で借入したい・・・」といった対処療法的な目線のみに留まっているのであれば、一刻も早くそこから抜け出さなければならないのです。
なぜなら、財務を「戦略」と捉えるならば、資金調達や節税対策などは、その戦略を支えるためのイチ「戦術」にすぎません。自社の基盤を支えるしっかりとした財務戦略なしに、無理な売上拡大や場当たり的な資金調達・間違った節税対策を繰り返していたのでは、財務を強化するどころかむしろ棄損してしまっているということに気が付かなければならないのです。
上場企業なら、財務担当役員を雇うこともできますが、中小企業の場合にはそうはいきません。だからこそ、財務は、社長が担う事業永続のために最も重要な仕事であるということを、社長自身がよくよく認識しておかなければならないのです。
その一方で、こんな話をすると、「ウチの会社のお金のことは経理担当者に任せている」という答えが返ってくることがあります。ですが、そもそも「経理」と「財務」は全く別モノであるということを知っておかなければなりません。
経理は、「既に動いたお金の管理をすること」であり、あくまでも「過去」を起点とします。日々の取引の記録をしたり、財務諸表をつくったりするのが仕事です。
それに対し、財務は、「これから動かすお金の管理をすること」であり、あくまでも「未来」を起点としています。将来の経営計画を策定し、如何に儲かって潰れない会社にするのか、利益を出してお金が残る強い財務体質にしていくのかを考え、その材料として、財務諸表を使いこなすのです。
「財務諸表を使いこなす」と聞くと、急にハードルが高く感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、財務諸表はそもそも「つくる能力」と「読む能力」と「使いこなす能力」の三段階に分けられます。
つまり、社長は、何も財務諸表を作れるようになる必要はないのです。財務諸表をつくる能力は、経理担当者や税理士・公認会計士に必要な能力であり、読む能力は、営業マンや銀行の融資担当者に必要な能力なのです。そして、これらは全て目線は「過去」にあります。
それに対して、社長にとって必要な能力は「財務諸表を使いこなす能力」であり、大切なことは、目線は「未来」にあるということを社長自身が自覚することなのです。あくまでも、社長の仕事は「会社の未来を創ること」です。これから動かすお金をどうするのか、どうやって儲かってつぶれない会社にするのかを考えるのが社長の仕事です。
将来に向かって自社を成長発展に導くとともに、社員や家族を守り抜くという決意と覚悟さえあれば、自ずと、事業永続のキーポイントは「財務中心の会社づくり」にあるということに、辿り着くものです。だからこそ、時代の変化や経済環境の逆風にも負けず、悠々と長く勝ち残っている社長だけが、密かに、財務中心の会社づくりを行っているのです。
あなたは、「財務」で自分の会社の未来を創る努力が出来ていますか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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社長と会社にお金が残る仕組みづくりの専門家
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