【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 お金を残す経営財務
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多くの社長が陥る黒字倒産の罠
第88話:多くの社長が陥る黒字倒産の罠
「舘野先生、ウチの会社は今年も増収増益という結果になりました。それなのに、なぜかいつもお金が足りないんですよ。今のところは銀行も喜んでお金を貸してくれていますが、先のことを考えると不安で仕方がありません。」社長に就任して10年以上経過する、とある近畿地方の二代目社長さんからのご相談です。
あなたは「黒字倒産」というコトバをご存じでしょうか?
別のコトバで言い換えるなら、黒字倒産とは、「勘定合って、銭足らず」といった状態のことをいいます。損益計算書上は「黒字」の状態、つまり「利益」が出ている状態なのにもかかわらず、お金が回らなくなって結果的に倒産してしまうということです。
極論をいえば、会社は「赤字」であっても潰れません。
本当に会社が潰れてしまうのは、「お金」がなくなった時です。
したがって、社長は、自分の会社の「お金」の流れを誰よりも深く理解するとともに、資金不足の状態に陥らないよう、常に目を光らせておかなければならないのです。
一見すると、「黒字経営なら、潰れないのではないか?」と感じられるかもしれません。しかし、そこに多くの社長が陥る落とし穴があるのです。黒字倒産の兆候がある会社の社長の多くは、「売上拡大には熱心に取り組む」、その一方で、「手元にお金を残すのは苦手」という傾向にあります。
しかし、会社を潰さない事業永続のキーポイントは、「財務」にあるのです。
黒字倒産予備軍の社長の多くは、財務を無視した経営を続けた結果、気が付いたら「無理な売上拡大」や「身の丈に合わない過剰投資」に走ってしまったり、あるいは、「場当たり的な資金調達」や「間違った節税対策」を行ってしまったりして、ますます資金が枯渇していくという悪循環に陥っていきます。
ここで問題になるのは、社長自身が「自分の会社が負のスパイラル陥っている、将来的に陥る可能性がある」ということに気が付けるかどうかです。自社のあり方に問題があると感じた場合、本気で永続的な成長発展を目指すのであれば、「売上主導型経営」から「財務主導型経営」へ一刻も早くシフトすべきなのです。
そんな中で悩ましいのが、売上主導型経営のもと過去に悪手を打っていたとしても、現在の苦境に陥った根本原因が、その過去の経営判断にあったという点になかなか気が付きにくいことです。
さらにいうと、金融機関や保険の営業マン、あるいは顧問税理士や社長仲間からのススメなどで実行した場合には、はじめから断片的な知識(聞きかじりの情報)が身についてしまっているケースが多く、現実を受け入れるのに時間がかかることもあります。
しかし、過去の経営判断が今の経営にどのような影響を与えているかについては、財務中心の会社づくりを行い、会社のお金の流れを「見える化」すれば、一目瞭然なのです。数字は、本当に正直です。
無理な売上拡大をするために、あるいは、身の丈に合わない過剰投資のために金融機関から場当たり的な資金調達をしていれば、毎月稼ぎ出されるキャッシュフローを上回る借入金の返済額が自社の経営を圧迫していることが数値情報に表れます。
問題は、その事実に「社長自身が、気が付けるかどうか?」なのです。
社長仲間の付き合いで加入した保険商品、最初は少ない金額だからと気に留めていなくても、実際のところは、自社のキャッシュフローを圧迫していたり、あるいは、顧問税理士にススメられて節税対策用に車や不動産などの固定資産を買ったはいいけど、思ったより節税効果は少なくて、むしろ資金繰りを圧迫する原因になっていたり・・・この手の事例は、枚挙に暇がありません。
お金の分野の話は、知らない人が損をするような仕組みになっていますが、社長の場合は、「知らなかった」では済まされません。なぜなら、会社の寿命を、社長自身が縮めてしまうことさえあるからです。
したがって、社長は、会社を守るために、会社経営にまつわるお金の話に強くなっていかなければならないのです。断片的な知識や聞きかじりの情報には、十分に気をつけなければならないのです。
その一方で、財務中心の会社づくりを行っている社長は、自社のお金(キャッシュ)がどのように循環しているのかを正しく理解し、如何に効果的にお金を残していくかを考えます。
お金を残す社長は、一般には知られていない絶対的な手順と、見落としてはいけない幾多のチェックポイントを習得することで日々強い財務体質の会社づくりをしているのです。
あなたは、社長として本質的な資金管理が出来ていますか?
自社の永続的成長発展のために、お金を残せていますか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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社長と会社にお金が残る仕組みづくりの専門家
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