【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 お金を残す経営財務

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お金を残す社長が最初に気が付くこと

第98話:お金を残す社長が最初に気が付くこと
「舘野先生、ウチの会社は、社員も、私も、お陰様でいつも忙しくさせてもらっています。忙しいこと自体はありがたい話なのですが、でも、その割にはゼンゼンお金が残らないんですよ。このままではいずれ皆疲弊してしまうでしょうし、先のことを考えると不安で仕方がないんです。」自ら会社を興されてもうすぐ10年。次の成長ステージを見据え、経営の質向上のための取り組みに着手されているとあるオーナー社長さんからのご相談です。
多くの社長が、最初は「売上が増えれば、潰れない会社になる」と考えます。
特に、自ら会社を興され、新たに市場を開拓し、まさに「ゼロをイチにする苦労」をされている創業社長ほど、その傾向は強いものです。
確かに会社を経営していく上でお客様はなくてはならない存在ですし、売上がなければ事業としてそもそも成立しません。したがって、まぎれもなく会社経営をしていく上で売上をつくるという行為は、大変重要なものです。
しかし、ここで誤解してはならないのは、「売上の多寡」と「事業の永続」とは全くもって別次元の話であるということです。
どんなに売上を拡大し増やすことに成功したとしても、会社にしっかりとお金が残っていなければ、事業を永続させることはできません。このようなことをお話すると、「うんうん、ほんとにそうですよね」「なるほど、まさにそのとおり」といった反応をされる社長もいれば、「そんなことわかっているよ」「当たり前のことじゃないか」といった表情をされる社長もいます。
表面的な反応に関しては、これまで歩まれてきたご本人の経験と考え方によって人それぞれなのですが、それはさておき、最も重要なことは、「本質的な意味で理解し、納得しているか?」という点です。
それはどうゆうことかというと、「売上の多寡」と「事業の永続」とは全くもって別次元の話であるということを社長自身が本当の意味で、真に、深く、理解できているかどうか・・・です。
なぜわざわざこのようなことをいうかというと、「お金は大事」「うちの会社は、財務をちゃんとみている」とクチでは語っていても、実際の行動や思考をじっくり観察して見てみると、「売上至上主義」での会社経営から脱却できていないケースが意外と多いからです。
売上至上主義の会社は、そもそも社長自身が「売上が増えれば、潰れない会社になる」と考えていますから、社員もそれに習って「売上が増えれば、自分の評価が上がる」と考えます。ですから、会社全体のベクトルが、本当の意味での儲けとなる「利益」うんぬんよりも「売上」を増やすことに向いてしまっているのです。
当然ながら、このようなことでは、いつまでたっても手元にお金を残すことはできません。
社長自身に、財務至上主義の考え方が根付いて、はじめて、財務中心の会社づくりがスタートします。したがって、財務中心の会社づくりを実践し、真にお金が残る経営を実践するためには、まずは社長自身が売上至上主義の考え方を卒業し、財務至上主義の考え方にステップアップする必要があるのです。
特に、会社の収益構造が赤字体質、あるいは、赤字ではなく黒字であったとしても、その内容が限りなく損益ゼロに近い状態だったり、いつ赤字に転落するかわからないような営業利益の状況だったりすれば、よほどの内部留保がない限り、いつ「借入依存」「資金不足」の状況に転落してもおかしくはありません。だからこそ、早期の現状把握と次の一手を考えなければならないのです。
まずは、そのための第一歩として、特に複数の事業部や営業所があったり、複数の商品やサービスメニューが存在すしたりする場合には、部門別・支店別・商品別などそれぞれの数値情報を細かくドリルダウンして分解できるようにしておくべきなのです。
あくまでも社長の仕事は、会社全体の方向性を決定づけることであり、そのためには、「攻める経営」「守る経営」「捨てる経営」の決断をタイムリーに行えるようにしておかなければならないのです。
上手に会社にお金を残す社長は、なぜ自分の会社にお金が残らないのか、その原因徹底的に考え抜きます。なぜなら、「何が原因でお金が残っていないのか」について本当の意味で理解できていないことこそ、最も悩ましい事態であるということに社長自らが、気が付くからです。
あくまでも、社長の仕事は、会社の未来を創ることです。したがって、今の会社の状況をより早く正確に把握した上で、5年後10年後を見据えてどのように経営の舵取りをしていくのかを考えることこそが最も重要なのです。
あなたは、自分の会社になぜお金が残らないのかについて理解できていますか?
あなたの会社には、お金が残る経営を実践するためのロードマップがありますか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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社長と会社にお金が残る仕組みづくりの専門家
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