【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 事業承継・相続対策
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多くの社長が見落とす決算書の磨き方
第34話:多くの社長が見落とす決算書の磨き方
「舘野先生、今年、初めて自分の会社の決算書をじっくり見てみたのですが、どうも内容がよくわからない資産や負債があるんですよ。しかも、経理に聞いても、顧問税理士に聞いても、先代社長に聞いても、みんな口を揃えて『わからない』っていうんです。」先般、先代社長さんから経営の舵取りを任された40代のある後継社長さんからのご相談です。
常々私は、「決算書は社長の通信簿であり、成績表ですよ。」とお伝えしているのですが、その決算書に意味不明なものや不可解(?)なものが長年計上されていて、しかも、誰に聞いても「わからない」と言われてしまって、どうしたものかと処理に困っている・・・そんなご相談をよく受けます。
創業して30年以上経過している会社さんであれば、必ずといっていいほど、ひとつやふたつ過去から累積している負の遺産だったり、あるいは逆の埋蔵金だったりが眠っているものです。そして、悩ましいのは、多くの後継社長さんの最初の仕事が、この決算書をきれいにする・・・というものだったりすることにあります。
決算書は、金融機関だったり、税務署に提出したり、あるいは、取引先などから開示を求められることもありますので、いかに「美しい決算書」に仕上げるかという視点は、極めて重要です。なぜなら、人は見た目が大事とよく言われますが、それは決算書にも共通するからです。
例えば、人間の体でイメージしてもらうとわかりやすいのですが、スッキリと引き締まった体型で清潔感のあるきちんとした装いをしている人は、どことなく信頼できそうな感じがしませんか?ですが、逆に、贅肉たっぷりのメタボ気味な体型で、ヨレヨレのシャツを身に付けている人は、「この人ちょっと大丈夫かな~?」と少し心配になったりしませんか?
当然ながら、100%見た目だけで人を判断することはできませんが、「第一印象」というものは、その後の印象にも続く重要なファーストステップなのです。
そして、多くの会社の「第一印象」になるものが、いわば「決算書」なのです。
金融機関に資金調達を依頼しようとしたら、まず最初に、必ず決算書の開示を求められますが、金融機関の融資担当者は、決算書の数値を見ながら、「この会社にお金を貸したら、ちゃんと返ってくるのか?」ということを様々な視点からチェックします。
税務署の調査官は、申告書はさることながら、決算書の決算数字を見て「怪しい動きをしているものはないか?」などの判断をして、税務調査のタイミングを見計らっています。
ですから、金融機関や税務署などの第三者から信頼を勝ち取るための「美しい決算書」をつくるためのスベを社長は知っておかなければならないのです。あくまでも、偽りの美しさ(粉飾決算)ではなく、ありのままの姿をどう見せるか、いかに自助努力をしていくかということなのです。
つまり、社長自らが自助努力をする気持ちを持てば、決算書はいくらでも磨き上げることができるということです。最も身近な事例として、「仮払金」をイメージしてもらうとわかりやすいと思うのですが、仮払金は、社長や社員が一時的に払い出している状態のもので、いわゆる「とりあえず仮置き」といったニュアンスの勘定科目です。
しっかりした会社や社長であれば、決算期末時点ではできる限り仮払金がゼロになるように、早期に精算をしていくことでしょう。ですが、逆に、お金にルーズな会社や社長であればどうでしょうか?
決算期末時点でも多額の仮払金が決算書上に計上されていて、しかもそれが年を重ねるごとにドンドン膨れ上がっていってしまって、もはや誰も内容がわからず、ひどい場合には10年20年と据え置かれている・・・といったことも、決して珍しくはないのです。
仮払金の例は、最も簡単な一例です。その他にも「美しい決算書」のチェックポイントや、その磨き方は数多く存在します。しかし、最も重要なことは、「社長自らが自社の決算書を磨き上げようという意識を持つこと」なのです。
なぜなら、決算書を磨きあげられるのは、他でもない社長だけだからです。
あなたの会社の決算書は、「美しい決算書」ですか?
金融機関や税務署、取引先から信頼を勝ち取る「美しい決算書」ですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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