【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 事業承継・相続対策
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「相続」が「争族」になってしまう会社の特徴
第92話:「相続」が「争族」になってしまう会社の特徴
「舘野先生、現社長である父と話し合った結果、来年あたりで私が社長に就任し、父が会長に退く方向で考えています。まだまだ父も元気なので、今すぐどうこうという話ではないのですが、万が一の相続のことを考えると不安になることがあります。」まさに事業承継目前、これから経営を引き継ごうとされている、とある中部地方の後継社長さんからのご相談です。
当社は、同族会社専門の財務コンサルティング機関ということもあり、会社を自ら創業したオーナー社長さんからのご相談をお受けすることもあれば、事業承継したて、あるいはこれから事業を承継される二代目社長さんや三代目社長さんからのご相談をお受けすることもあります。
今は、まさに日本の中小企業全体が大きな世代交代期。上手に次世代経営者にバトンタッチして、より一層の成長発展を手に入れている会社もあれば、その一方で事業承継に失敗し、凋落への道を進んでいく会社も少なからず存在します。最近では親族外への承継も増えてきてはいるものの、やはり、実感として親族内での承継が圧倒的ではないでしょうか。
後継社長の方々に社長就任への経緯を伺うと、実に、様々なエピソードが次から次へと出てきます。
例えば、「生まれた時から無意識のうちに後継者の道を歩んでいた。」という後継社長さんもいれば、「当初は会社を継ぐ予定ではなかったけど、父親の体調不良をキッカケに会社を継ぐことになった。」という後継社長さんだっていらっしゃいます。若くして継がれる方もいらっしゃいますし、満を持して・・・の承継という方もいらっしゃいます。
同族会社にとって、絶対避けては通れない事業承継の問題を円滑に進めることは、当然ながら、大変、重要な経営課題のひとつです。したがって、成功している会社ほど、ついつい後回しにしがちなこの経営課題を、出来る限り早期に解決しようと努力しているものです。
その一方で、事業承継をキッカケに凋落していく会社もあります。そのような会社は、「いずれその時が来たら考えたらいい」と課題を先送りにする傾向にあります。
特に、昭和の高度経済成長期に会社を大きく成長させてきた社長ほど、70歳になっても場合によっては80歳になっても「まだまだ自分は現役だ」思う傾向にあります。しかし、ほとんどの場合、「その時」がきた時には、残念ながら選べる選択肢がなくなっているものです。
先代社長に潤沢な金融資産があって、それをもって遺産分割できるのであればまだ良いのですが、ほとんどの中小企業オーナーの資産は、「株式」と「不動産」が大半を占めています。
そして、これらの「株式」や「不動産」は安易に換金することができず、事業に関連するものであれば、後継社長が引き継がなければなりません。資金化できないにも関わらず、相続税評価額だけは高額になるため、多額の税負担が後継社長にのしかかる・・・そんな事例は、枚挙にいとまがありません。
さらに、相続が発生した場合には、会社の問題だけでなく、家族の問題も、突如、表面化してきます。先代社長が生きている頃には何も言ってこなかった兄弟姉妹が、相続をキッカケに、突然強く金銭的な要求をしてくる・・・という話もよくあることです。
そして、後継社長にとって最も悩ましいのは、「現金」で株式を買い取って欲しいとか、「現金」で遺留分を用意して欲しいとか・・・最終的には、様々な要求に応えざるを得ない状況に追い込まれてしまう点にあります。
したがって、一口に「事業承継」といっても、様々な問題が複雑に絡み合っているものですから、安易に考えていると思わぬ落とし穴にハマってしまうのです。特に、「とりあえず、社長に就任すれば・・・」と考えている後継社長ほど、注意が必要なのです。
大切なことは、後継社長は、社長に就任する前にこそ、想定される課題を洗い出して、火種を先代社長とともに消していく努力をしておくことにあります。
なぜなら、中には対策に時間がかかるものもありますし、複数の関係者を説得する必要だってあるかもしれないからです。会社と家族を守るためには、先代社長が元気なうちにこそ協力を仰いで、「相続」が「争族」に発展しないよう、事前に話をまとめておく必要があるのです。
あなたは、相続が発生しても、会社と家族を守り抜く準備ができていますか?
あなたの会社には、「相続」を「争族」にしないためのロードマップがありますか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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日本で唯一の「同族会社専門」財務コンサルティング機関
社長と会社にお金が残る仕組みづくりの専門家
『ダイヤモンド財務®』のユメリアコンサルティング株式会社
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