【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 事業承継・相続対策

当コラムは、「事業は順調なのに、お金が残らない…」「会社のお金の流れがわからない…」「経営判断の基軸になるものがない…」「税金からお金を守りたい…」「銀行対応で失敗したくない…」「無策なままの相続対策を何とかしたい…」このようなお悩みを抱えた同族会社のオーナー社長・2代目社長のための専門コラムです。(毎週水曜日更新)

相続対策で失敗する社長と成功する社長の違い

第202話:相続対策で失敗する社長と成功する社長の違い

 「舘野先生、ウチの会社は株式が親族で分散していて困っています。最近では、色々な取引銀行から『早く何とかしないと手遅れになりますよ!』っていわれていて、先日も、提案書を持ってきました。自分でもなんとかしたいとは思っているのですが、どこから手を付けたらいいのかわからなくて…。」目下、財務中心の会社づくりを目指して奮闘中の、とある九州地方の3代目社長さんからのご相談です。

当社は、同族会社と社長の財産管理(お金が残る仕組みづくり)実務の専門機関なので、実に、様々な会社経営にまつわるお金の相談ごとが寄せられます。

 具体的には、お金の管理の方法に始まって、金融機関対応や資金繰りの考え方、税務対策や部門別損益管理制度の構築など、実に様々な角度から会社経営にまつわるお金の悩みを解決するお手伝いをしておりますが、不思議なもので、「お盆の時期」と「年末年始の時期」に数多く寄せられるご相談事があります。

 さて、あなたは何だと思いますか?

 もしかしたら、ピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが、答えは、ズバリ「相続対策」にまつわるご相談です。それも、どちらかというと「争族対策」に近いご相談です。具体的には、高齢になった先代社長から、現社長への「自社株式」と「事業用不動産」の集約という比較的シンプルなケースもあれば、一方で、親族で「自社株式」と「事業用不動産」を分散して所有しているのを集約するというケースもあります。

 「自社株式」と「事業用不動産」は社長に集約が原則

 特に、社歴の長い同族会社の場合は、いわゆる一昔前の相続対策として「自社株式」や「事業用不動産」を当たり前のように親族間で分散させてしまった結果、収集がつかなくなってしまった…というケースが非常に多く見受けられます。

 少なくとも、真に、オーナー社長としてのオーナーシップを発揮するためには、「社長自身が他の株主から排除されるような不測の事態」を回避すべきです。それに、事業用不動産に関しても、オーナー社長もしくは会社が所有していれば「突然、事業用の不動産を使えなくなるような不測の事態」を回避することができます。

 そんなこともあって、当社では、できる限り早い段階で、「自社株式」と「事業用不動産」の集約をオススメしているのですが、その場合、スンナリ上手く進むケースもあれば、その一方で、あたかも深く根を張った根っこをじっくり掘り起こしながら丁寧に進めていくようなケースもあります。

 「自社株式」についても、「事業用不動産」に関しても、ほぼ価値がないような二束三文のものであれば、ほとんどの場合、特段モメるようなことは起きないものです。むしろ「こんなもの持っていてもしょうがないから、引き取ってくれ」と言わんばかりに、アッサリと「100%社長に集約」が実現するものです。

損得勘定だけで解決するほど甘くないのが「争族対策」

 しかし、過去からの内部留保が厚く、株価計算上もそれなりの値が付くような自社株式の場合は、そう簡単に話は進みません。株価が高くなればなるほど、株主は自分の株主としての権利を自覚するようになってきますから、それを集約するためには、それなりの事前準備が必要なのです。

 先ほど、「あたかも深く根を張った根っこをじっくり掘り起こしながら丁寧に進めていく」という表現を用いましたが、慌てて引っ張ろうとすると、言葉通り失敗してしまうのです。

 例えば、自社株式に限って言うと、

「株価はどういう前提だと、一体どのぐらいの金額になるのか?」

「当事者間での売買や贈与・自社株式の買取は、現実的なのか?」

「種類株の活用・信託の設定など、第三の手法も検討したか?」

「どういうストーリーで説明するのが、最も理解してもらいやすいのか?」

「相手側にとっての、真のメリットは何なのか?」

など、事前準備は段階に応じて多岐にわたります。

 しかしながら、ほとんどの場合は、株価が安いとか高いとかそういった側面でしか検討しないまま、相手側への配慮もなく、自分の都合だけで相手側に話を切り出してしまうのです。そうなれば、当然上手くいくものも上手くいかなくなります。

 特に、相手が高齢で収入がないようなケースだと、将来に対する金銭的な不安を抱えているということもあります。その点をちゃんと織り込んだ上で、丁寧に話を進めていかないと関係をこじらせてしまいます。つまり、自分の金額的な損得勘定だけで強引に進めようとすると、動くものも動かなくなってしまうのです。

 株式や不動産を集約する側からすれば、できる限り安く集約したいと考えるのは当然のことです。しかし、それを良しとするかどうかは相手次第であるという大前提を忘れてしまってはいけないのです。言葉を変えれば、経営者としての資質、社長としての覚悟を試されているのです。

ダイヤモンド財務の社長は、根本的・本質的・長期的な視点で考え、決断をします。

ガラス財務の社長は、目先の損得勘定だけで意思決定しようとします。

あなたは、同族社長としてのオーナーシップを発揮する事前準備ができていますか?  

ダイヤモンド財務®コンサルタント
 舘野 愛

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~同族会社と社長一族の「財産管理実務」の専門家~

社長と会社にお金を残す仕組み「財務コンサルティング」

「ダイヤモンド財務」のユメリアコンサルティング株式会社

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