【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 お金を残す経営財務
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未来思考の社長が攻めの財務を重視する理由
第57話:未来思考の社長が攻めの財務を重視する理由
「舘野先生、これからは未来に向かって前向きな投資をしていきながら、潰れない会社づくりをしていきたいんです。現場での『今』の実務に追われたり、社長室のイスの上で『過去』を眺めるだけでは、いずれ尻すぼみになってしまいますから。」先般、素晴らしいご決断を自らの意志で下された、とある後継社長さんの一言です。
当社のひとつの特徴ともいえるかもしれませんが、門戸を叩いて下さる社長さん方は、皆さん大変経営に前向きで、社員や家族のために・・・と「如何に未来をより良いものにしていくか?」について、日夜、腐心されている大変素晴らしい方ばかりです。
特に、会社の事業規模が大きければ大きいほど、そして、承継する財産が多ければ多いほど、それを生かすも殺すもご本人次第・・・ということになりますから、リーダーである社長の思考軸が会社の存亡、それから一族の行く末を大きく左右するといっても過言ではありません。
極論を言えば、社長が「どこを目指すのか」によって、その会社の未来や方向性、そして行く末は決まってくるのです。人類は日々進化していますし、経済環境の波は予測不能な部分もあります。そんな中で、社長が立ち止まっていたのでは、永続的な成功繁栄は夢のまた夢になってしまいます。
例えば、「とりあえず最低点だけ取って落第しなければいいや」と考えている高校生と、「希望する大学に進学して将来は○○になりたい」と願っている高校生とでは、当然、成績に大きな影響が出てくるはずですし、「とりあえず、今、目の前の仕事だけをこなしてお給料だけもらえればいいや」という考え方の人と、「もっとより良いやり方はないか?」「今ある技術を生かして、新しい商品の開発に活かせないか?」という考え方の人とでは、当然、5年後・10年後の未来は、大きく変わってくるはずです。
組織のリーダーである社長が掲げる未来が高邁で理想的なものであり、しかも実現可能なものであれば、社員も間違いなく誇りに思ってくれるでしょうし、大きなモチベーションにも繋がります。
社長はどんなことがあっても、組織のリーダーとして大きな目標を掲げ、その実現のために、日夜、努力をしていかなければならないのです。しかし、そうはいっても、その過程は決して楽な道のりではありませんし、社長は、幾多の「経営判断」を求められていきます。
一瞬で決められることもあれば、中には、身を切られるような苦しい決断、何日も悩みに悩んで下す決断・・・様々なはずです。そして、その経営判断の成功の確度を上げ、より良い未来を築くために欠かせないのが「正しい経営判断を下すための社長専用のモノサシ」なのです。
確固たる経営判断のための基軸がなければ、一瞬にして数千万円、場合によっては億単位での損失を被ることだって、決して珍しくありません。しかしながら、多くの場合、その事実に社長自身が気づいておらず、漫然と赤字を垂れ流してしまっているのです。
さらに、損失の金額の多寡もさることながら、最も悩ましいのが、その失敗を取り戻すためには、膨大な時間と労力を費やすことになりかねないという点です。
「自分が下す経営判断は、会社にとってどうゆう影響が予想されるのか?」
「成功した場合と、失敗した場合の損益への影響はどうなるのか?」
「今決断を下すべきなのか、あるいは、もう少し判断材料を集めるべきなのか?」
「Aという選択肢とBという選択肢があるが、本当にそれだけなのか?」
などなど、社長は様々な視点から未来を基軸にした思考を巡らせていき、その上で決断をすべきなのです。
よく「社長の仕事は決めること」といわれますが、その判断の基軸となるものがなければ、それはただのバクチであり、ギャンブルにすぎません。いかに成功の確度を高めていくのかという視点で自社の財務データはフルに活用すべきなのです。
逆に言えば、今現在、全く財務データを経営に活かせていないというのであれば、それは宝の持ち腐れですし、もっと経営の質を高めるための工夫ができる「伸びしろ」とも言えます。決して悲観することなどありませんし、ある意味、次の成長飛躍のための起爆剤でもありますから、その事実に気が付けたこと自体が大変素晴らしいことなのです。
高度経済成長下においては、「売上を増やせば潰れない会社になる」という売上至上主義の経営手法でも通用しましたが、今は違います。低成長下にある厳しい経営環境下で最後の最後に生き残るのは、「財務中心の会社づくり」を早期に行った会社なのです。
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ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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