【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 節税対策・税金対策 

当コラムは、「事業は順調なはずなのに、なぜかお金が残らない」「節税して税金から『会社』と『財産』を守りたい」「銀行対応で失敗したくない。借金を減らしたい」「無策なままの事業承継・相続対策。将来が不安」とお考えの同族会社のオーナー社長・二代目社長向けのコラムです。
「お金を残す会社財務」「節税対策・税金対策」「銀行対策・銀行融資」「事業承継・相続対策」に関する気づきやヒント、エールをお伝えします。(毎週水曜日更新)

財務を棄損させてしまう社長の間違った節税対策

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第48話:財務を棄損させてしまう社長の間違った節税対策

「舘野さん、顧問税理士に『今年は税金が沢山発生するから、節税対策をしましょう』って言われました。私も税金は払いたくないんで、保険や車・備品の購入で税額を圧縮しようと考えています。」先般ご相談にいらした、ある創業オーナー社長さんからのご相談です。

当社でも、しばしば節税に関するご相談を頂くことがありますが、多くの場合、財務諸表を拝見させて頂いたり、詳しくお話を伺っていくと、根本的な経営課題は別のところにあるという結論に辿り着きます。これは大変興味深い事実でもありますが、財務中心の会社づくりという視点では、往々にして「社長が思っていた経営課題」と「実際に打ち手を考えるべき経営課題」には、ギャップがあるものです。

話は戻りますが、「節税対策」と聞くと、あなたは、どんなイメージを持たれますか?
多くの場合、「節税対策」というと、イコール決算のタイミングで車や備品・機械などを買ったり、交際費などでお金を使って税額を減らすことをイメージされるかと思います。そういう意味では、節税対策というフレーズは、多くの社長にとって媚薬のような響きを持っているのではないでしょうか。中には、「節税対策が趣味なんです!」なんておっしゃる社長さんなんかも、たまにお見受けすることだってあります。

「今年は、節税対策として○○を買うことにしました。これは、今年一年間頑張ったご褒美でもあるんですよ。」以前、このようにおっしゃる社長さんにお会いする機会がありましたが、中には、本当の意味での正しい節税対策を知る前に、保険や不動産・車のセールスマンのセールストークに乗せられて、さらには、財務に対する理解の浅い顧問税理士のススメも手伝って「間違った節税対策」に資金をつぎ込んでしまうことがあります。

具体的にどのようなことかというと、「節税対策」という大義名分のもと、「目的」と「手段」を取り違えた節税対策を実行してしまうのです。その結果、あろうことか、自社の財務状態を自らの手で毀損してしまう社長さんが、あまりにも多い。そして、最も悩ましいのは、社長自身がその事実に気が付くどころか、むしろ「いい節税対策をした」と信じている点にあったりします。

では、なぜ多くの経営者は、知らず知らずのうちにこのような間違った節税対策をしてしまうのでしょうか?そこには、ある2つの理由があります。

一つ目の理由は、節税対策自体が目的と手段を混同しやすいからです。

節税対策そのものは、会社にお金を残すための「手段」であって、決して「目的」ではありません。経営本来の目的を「最小の元手で最大の利益を稼ぐこと」と考えれば、将来に繋がらないお金の使い方は決してしてはならないですし、特に、成長過程にある会社こそ、限りあるお金を内部留保や将来に向かっての先行投資に資金を投じていかなければなりません。

経営基盤の脆弱な中小企業ほど、限りある資金を上手に活用していく仕組みを意識して作っていかなければ、あっという間に経営は苦しくなっていってしまいます。この点を理解していない社長ほど、節税対策を切り口にしたセールストークにコロッと心を奪われてしまう傾向にあるのです。小手先の節税対策のしっぺ返しほど怖いものはありません。

二つ目の理由は、節税対策の効果を数字で理解していないからです。

例えば、利益が1,000万円、現預金が1,000万円の会社が、「節税対策」として、600万円の中古車(耐用年数3年・定額法償却と仮定)を購入したとします。

税率が仮に30%としたら、
税金は、800万円(1,000万円-減価償却費200万円)×30%=240万円
現預金は、1,000万円-車600万円-税金240万円=160万円 となります。

ですが、もし、この「節税対策」をしていなければ、
税金は、1,000万円×30%=300万円
現預金は、1,000万円-税金300万円=700万円 となります。

結局、今期において実際に節税効果があったのは、60万円(300万円-240万円)のみであり、現預金の減少は、540万円(700万円-160万円)にものぼります。

節税対策とは、会社にお金を残すための手段であるというお話をしましたが、この「節税対策」はどうでしょうか?会社にお金を残すものどころか、答えはむしろ逆だということがわかります。

何がイイタイのかというと、お金を残すという視点で考えれば、無駄な費用が増え、資金が流出し、さらにはお金を生み出さない資産が増えてしまっているということです。正しい節税対策というものは、出来る限りお金を使わないで税額を圧縮するという点にあります。何よりも大切なことは、社長自らが正しい節税対策を学び、実行することにあるのです。

あなたの会社は、目的と手段を取り違えた節税対策をしていませんか?
自社の財務を強くする節税対策のしくみが出来ていますか?

ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛

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