会社を成長させる社長の財務戦略と資金調達の考え方

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「舘野先生、以前は借入をできるだけ減らすことばかり考えていました。でも、借入に対する考え方が変わってから、会社経営そのものが大きく変わりました。」ある中部地方の2代目社長さんから、こんな嬉しいご報告をいただきました。

当社は、同族会社専門の財務コンサルティング機関(社長と会社にお金が残る仕組みづくり)なので、全国各地より、同族会社の社長さんから会社経営にまつわるお金の悩みのご相談が寄せられます。

この中部地方の社長さんは、次のように続けます。

「手元資金に余裕ができたことで、以前なら怖くて見送っていた設備投資にも踏み切れるようになりました。今では、借入はただ怖がるものではなく、会社を成長させるために上手に使うものだと思っています。」

この言葉には、会社経営における大切な本質が隠されています。それは、

借入があること自体が問題なのではない。借入をどのように扱い、どのようにコントロールするかが問題である。

ということです。

多くの社長さん方と関わる中で感じるのは、真面目で堅実な社長さんほど、「借金は早く返したほうがいい」「無借金経営こそ優良企業だ」と盲信しがちだということです。

もちろん、無策なまま闇雲に借入を増やす必要はありません。しかし、必ずしも「借入を減らすこと」と「潰れない会社づくりをすること」は、同じではないのです。

銀行借入を正しく活用する考え方

この記事では、借入は「悪」と盲信する社長が見落としていることと、借入を成長の武器に変えるための発想について、具体的に解説します。

 

借入を「悪」と考える社長が見落としていること

「借金はできるだけしたくない」「無借金経営こそが理想だ」と考える社長は少なくありません。

堅実な考え方に思えますが、実はこの発想には落とし穴があります。まずは、借入を「悪」と捉える社長が見落としがちな点について、お伝えします。

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「借金は少ないほうがいい」という思い込み

個人の家計で考えれば、「借金は少ないほうがいい」という感覚は自然です。しかし、会社経営は少し違います。

会社のお金には、会社を守るためのお金だけでなく、未来をつくるためのお金という役割があるからです。

例えば、

  • 目の前に絶好の設備投資の機会がある
  • 優秀な人材を採用できるチャンスがある
  • 新しい事業へ進出するタイミングが来ている

そんなとき、社長に問われるのは、「借金があるか、ないか」ではありません。「今、会社に自由に動かせるお金があるか」なのです。

借入残高を減らすことだけに集中した結果、会社の預金まで薄くなってしまえば、いざというときに打てる手がなくなります。

社長にとって本当に怖いのは、借入金があること以上に、必要なときに使えるお金がないことなのです。

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無借金経営が、成長の足かせになることもある

もちろん、十分な現預金を持ち、自己資金だけで必要な投資ができる会社であれば、無理に借りる必要はありません。

ここで問題なのは、「無借金であること」そのものを経営の目的にしてしまうことです。

例えば、5000万円の設備が欲しいとします。毎年、1000万円ずつお金を貯めたら、5年後には買えるかもしれません。

しかし、「時間を買う」という観点で考えてみれば、銀行から5000万円を借りて、今、この瞬間に設備投資をすれば、生産能力が上がり、そこから得た利益で借入金を返済することだってできます。

ここで社長が考えなければならないのは、「借金をしたくないから5年待つ」ではなくて、「銀行から借り入れをして、時間を買う価値がある投資なのかどうか」という経営判断です。

ここに、財務を知っている社長と、財務を知らない社長との間で大きな差が出てきます。

 

借入を武器にできる社長の発想

つまり、借入を成長の武器に変えられる社長は、借入というものを、世間一般の人が考える視点とは、まったく違った視点から捉えているのです。

では、ここで借入を会社経営の武器として使いこなせる社長が持っている、発想はどのようなものなのでしょうか。

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借入は「時間を買う」ための手段

当社では、社長さん方に、借入には「時間を買う」という側面があるということを伝えています。

借入には『時間を買う』という側面がある

例えば、先ほどのお話だと、自己資金が貯まるまで5年待つところ、借入によって今実行する、という選択をする。言い換えれば、実行までに時間がかかる投資を、今すぐ実行できる、ということです。

ただし、もちろん何でも前倒しすればよいわけではありません。

  • その投資によって、どれだけ利益やキャッシュを生み出せるのか
  • 借入金の返済計画が無理のないものなのか
  • 万が一、計画どおりにいかなかった場合にも会社は耐えられるのか

借入金の返済計画

そこまで考えた上で使うからこそ、借入は「負債」から「経営の武器」に変わるのです。怖いのは借入ではありません。財務の視点からあらゆる経営判断を下していないことが、最大のリスクなのです。

手元資金の厚さが、社長の選択肢を増やす

会社経営では、予想外のことが必ず起こります。

  • 地震や台風などで、思ってもいなかった被害を受ける
  • 中東情勢や海外のコントロールできないところで、商品の供給が止まってしまう
  • 長年使ってきた設備が、ある日、突然故障してしまう
  • 古くからお付き合いのある取引先の入金が遅れる
  • 誰も予想していなかった経済環境の変化が起こる

そんなとき、手元資金が薄い会社の社長は、手元の預金残高が気になってしまい、本業に専念することができず、資金繰りに奔走することになります。

また、新たなチャレンジをしようとしても、「やりたいか、やりたくないか」ではなく、「お金がないから、できない」という経営判断を選ばざるを得ません。

一方、十分な手元資金を持つ会社には選択肢があります。やることも、やらないことも、守ることも、攻めることも選択肢として存在します。

つまり、手元資金とは、社長の経営の自由度そのものなのです。

会社にお金が残らない本当の理由

 

借入を成長の武器にするために必要なこと

借入を武器にするといっても、ただやみくもに借りればよいわけではありません。借入を本当の意味で成長につなげるために、社長が押さえておくべきことをお伝えします。

借入返済財務資金調達

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「必要になってから借りる」では遅いことがある

「お金が足りなくなってから銀行へ駆け込めばいい。」そう考える社長もいます。しかし、資金繰りが厳しくなってからでは、希望どおりの融資を受けられるとは限りません。

金融機関は、会社の財務内容や返済能力、事業の将来性などを見ながら融資を判断します。だからこそ、当社では社長さん方に、

「借りる必要が出てから銀行と付き合うのではなく、会社に余力がある平時から資金調達力を整えておくことが大切です。」

会社に余力がある平時から資金調達力を整えておく

とお伝えしています。本当にお金に困った瞬間ではなく、まだ余裕があるときに次の一手を考えておく。これは資金調達だけでなく、会社経営全般に通じる原理原則です。

借入額ではなく「返せる仕組み」まで見る

ただし、誤解のないようにあえてお伝えしますが、「借りられるなら、いくらでも借りればいい」という話ではありません。借入を武器にするためには、社長自身が、

「この借入は何のためなのか?」

「この投資から、どれだけのキャッシュを生み出せるのか?」

「年間の返済額に対して、返済原資となるキャッシュフローは十分か?」

「返済を続けても、必要な手元資金を維持できるか?」

という数字を把握しておく必要があります。借入は、目的ではありません。社長が実現したい未来のために使う手段です。

だからこそ、「いくら借りているか」だけを見るのではなく、会社全体のお金の流れの中で借入をコントロールする。これが財務です。当社が同族会社の財務に専門特化しているのも、そこに理由があります。

会社全体のお金の流れの中で借入をコントロールする

私たちは、会社経営とは、価値ある技術やサービスを世の中へ送り出し、雇用を生み、地域経済を支える、最大の社会貢献であると考えています。

社長が「お金がないからできない」という経営から抜け出し、自信を持って未来への投資ができるようになれば、豊かになるのは社長一人ではありません。

社員とその家族、お客様、取引先、そして地域へと、その豊かさは広がっていきます。私は、社長とは周囲を照らす太陽のような存在だと思っています。

だからこそ、社長には会社のお金に振り回されるのではなく、財務を使って未来を選べる人になっていただきたいのです。

ダイヤモンド財務の社長は、借入そのものを怖がりません。同時に、借入を安易に増やすこともしません。「このお金を使って、どんな未来をつくるのか」「その未来に投資する価値はあるのか」「もし想定外のことが起きても、会社を守り切れるのか」これらを、数字を見ながら、自分自身で判断します。

ガラス財務の社長は、「借金は怖い」「早く返さなければ」という感情だけで判断してしまいます。その結果、借入金は減ったけれど手元のお金まで減り、いざというときに身動きが取れない。これでは、本当の意味で会社が強くなったとは言えません。

社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。

あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?

この記事の執筆者:舘野 愛(同族会社専門 ダイヤモンド財務®コンサルタント)

 

 

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舘野 愛

この記事の監修・執筆者

舘野 愛(Tateno Ai)

ユメリアコンサルティング株式会社 代表取締役

同族会社専門 社長と会社にお金が残る仕組みづくりの専門家
100年続くキャッシュリッチ経営「ダイヤモンド財務®」開発者

法政大学経営学部卒業後、中央青山PwCコンサルティング株式会社、税理士法人みらいコンサルティングを経て現職。財務顧問部の責任者として数多くの同族会社の支援(経営財務・事業承継・企業再生など)に従事。ある同族会社の倒産を目の当たりにした経験から、「財務は会社と社長一族の命運を左右する」と痛感し、日本初の同族会社専門コンサルティング会社を設立。

20年以上にわたり1,300人以上の同族社長を指導。売上や借金を増やさずに1年で手元資金を2倍にした事例や、実質無借金経営の実現、相続税の9割圧縮など、あらゆる角度からお金の悩みを解決する「ダイヤモンド財務®」プログラムを開発・指導している。2017年・2020年には「日本の専門コンサルタント年鑑」で厳選実力者として紹介される。

■ 保有資格

  • 税理士(東京税理士会・登録番号109556号)
  • AFP(認定番号51535999)
  • プロコーチ(GCS認定コーチ・認定番号1406SJ0951)

■ 著書・執筆実績

  • 『社長と会社にお金が残る仕組みの作り方 ダイヤモンド財務戦略』(エベレスト出版)
  • 『同族会社のためのダイヤモンド財務3つのポイント』(日本コンサルティング推進機構)
  • 『企業再編・組織再編入門』(日本実業出版社・共著)

■ メディア掲載・出演実績

  • 日本経済新聞:書籍「ダイヤモンド財務戦略」掲載(2025年12月1日・2026年6月4日)
  • 日本歯科新聞(アポロニア21):特集インタビュー掲載(2025年9月)
  • 近代中小企業:3ヶ月連続連載「社長がお金の落とし穴にハマる理由」ほか(2019年)
  • その他:FM-FUJI、海外投資新聞、Webメディア「社長の履歴書」など多数

■ 講演実績

  • 主催セミナー:ダイヤモンド財務の実践法セミナー(70回以上開催)・「新春三大経営戦略」特別セミナー(2026年1月)
  • 商工会議所:岡山、千葉、宇都宮、新潟、富山黒部、群馬渋川、埼玉浦和など全国多数
  • その他:中小企業家同友会(町田、荒川)、株式会社識学他民間企業など多数