【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 事業承継

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同族会社が事業承継で失敗する2つの理由

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第408話:同族会社が事業承継で失敗する2つの理由

「舘野先生、5年後には息子に会社を譲りたいと考えています。そこで、今の幹部達に息子を紹介したのですが、ちょっと微妙な雰囲気になってしまって、今から心配です。」とある関東地方の2代目社長さんからのご相談です。

当社は、同族会社専門の財務コンサルティング機関(社長と会社にお金が残る仕組みづくり)なので、全国各地より、同族会社の社長さんから会社経営にまつわるお金の悩みのご相談が寄せられます。

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今の幹部達と未来の社長の微妙な関係

事業承継に関する相談で最も多いのが、「現在の幹部達と後継社長との人間関係」の問題です。具体的には、今、現社長を支えている、古参社員達は、この先どのように扱っていけばいのか?というご相談です。

現在の役員や古参の社員には、現社長と共に会社を育ててきた自負があります。また、後継社長のことを子供の頃から知っているケースも多く、その分、後継社長を「一人の経営者」として見るのが、正直言って難しい面があるものです。

最初のうちは、お互い遠慮もあり、表面的には良好に見える関係だったとしても、日を追うごとに後継社長が経営者として頭角を表してくると、現役員や古参社員は、頭の中では認めつつも、心情的に受け入れられないといった状況が起きてくるのです。

さらに古参社員の中には、同族役員がいたりするので、さらに厄介です。親戚の叔父さんや叔母さん、イトコやハトコまでいるケースもあります。

現社長としては、役員や古参社員こそ、後継社長を支えてほしいと期待するものです。しかし、大切なことなので申し上げますが、古参社員、特に経営の中枢にいる役員には、現社長の引退に合わせて一線を退いてもらうぐらいの気持ちでいる必要があるのです。

なぜなら、そうしないと後継社長が後々、大きな苦労をすることになります。

同族会社が避けて通れない相続の問題

また、同族会社の場合、もう一つ大きな問題があります。それが「相続」です。親族が役員にいる場合、後継社長と親族で相続問題が発生し、経営の足かせとなるケースは多くあります。

この場合、経営に支障が出ることはもちろん、親族間での法的な争いに発展したり、実際に裁判で多くの時間とお金が失われたり、相続税の支払いで後継社長が多額の借金を抱えたりするケースもあります。

このような問題は、同族会社では決して珍しくありません。しかし、ほとんどの社長が、

「うちの家族は、仲が良いから争族なんて起きませんよ。」

「家族関係は、昔から良好なので心配ありません。」

「お金のことで揉めたりする関係じゃないです。」

と思いの外、楽観的に考えています。もちろん、「トラブルなんて発生するわけない」と信じたいお気持ちはわかります。

しかしながら、大切なことなのであえて申し上げると、すべての同族会社が必ず通る揉め事第1位は、紛れもなく「相続」の問題なのです。

実際に、相続の問題が起こってからでは、ハッキリ申し上げて手遅れになります。その結果、会社がお家騒動により乗っ取られてしまうケースや、相続が原因で経営破綻するケースも多いのです。

だからこそ現社長は、事業承継後、後継社長がスムーズに経営の舵取りができるよう、人材の整理と親族間の相続対策を行うことが、事業承継において最も重要な仕事になります。

これは、金額の大小ではありません。親族間でお金のトラブルが一度起きてしまうと、人間関係修復は、ほぼ不可能になるからです。

事業承継をした結果、身内の仲が悪くなったという事実は、後継社長にとって、かなりの精神的なストレスになります。それが原因で、精神を病んでしまう後継社長さんもいるくらいです。

このような事態を防ぐためにも、現社長が責任を持って、社内外の問題に対する準備を整えることが重要です。

事業承継は、現社長の大切な仕事

家族構成や状況によって対策は異なりますが、基本的な方針として、事業に関連する財産は後継社長に承継させることが大前提になります。その上で、事業に直接関係しない財産は、後継社長以外の相続人に承継させるべきです。

なぜなら、会社経営に必要な財産が後継社長以外の第三者の手に渡れば、事業の継続自体が危うくなります。そのため、事業に関連する財産は、後継社長に集約させるべきなのです。

具体的には、自社株式と事業用不動産は、後継社長に集約させることが、とても重要な考え方になってくるのです。

ただし、この場合、後継社長の相続税評価額が、他の相続人より高くなる可能性があります。とはいえ、後継社長が引き受ける自社株式と事業用不動産は、事業継続のために後継社長が持たざるを得ないものです。そのため、後継社長が市場で自由に売却できるものではありません。

しかしながら、問題となるのは、どうしても表面的に後継社長の財産承継が多く見えてしまうことから、計算上は評価額が多く見えてしまい、他の親族が「不公平だ」と感じてしまうがあります。

これを防ぐためには、現社長が事前に家族全員に十分な説明を行い、理解を得ることが重要です。その上で、遺言書などの法的な準備も、しっかり整えておく必要があるのです。

ダイヤモンド財務の社長は、現社長と後継社長が協力して円滑な事業承継を実現し、経営に専念できる環境を整えます。

ガラス財務の社長は、事業承継における人間関係や相続の問題を軽視します。その結果、取り返しのつかない事態を招いてしまいます。

社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。

あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?

 

ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛

 

 

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