【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 銀行対策・銀行融資
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悪循環から抜け出せない社長を待ち受ける落とし穴
第134話:悪循環から抜け出せない社長を待ち受ける落とし穴
「舘野先生、ウチの会社は、いつも運転資金が足りなくて、常に銀行からの融資に頼っている状態です。私は、将来を見据えて銀行融資に頼らない経営を目指しているのですが、父は『そんなこと出来るはずがない』『足りない分は借りればいいんだよ』とハナから諦めているんです。」社長就任に備えて、財務中心の会社づくりを始めたいとお考えの山陰地方の二代目社長さんの一言です。
当社には、全国各地より多くの同族会社のオーナー社長や後継社長がお見えになられますが、運転資金を自社の手元資金で賄えており、新たな攻めの投資を行う時だけ銀行融資を活用するという状態の会社もあれば、常に運転資金を銀行融資に頼っている状態という会社もあります。
銀行からお金を借りること自体は、決して悪いことではありません。もし万が一、無借金経営を経営の目的にしてしまっていたとしたら、本当に必要な時に、必要な事業投資をすることが叶いません。
そうなると当然、事業はしりすぼみになってしまいます。したがって、借入は、「自己資金を貯めるまでの時間を買うもの」であるということを正しく理解した上で、「日々の経営の努力の結果、『実質無借金経営』になっていた。」という状態を最終的に目指すべきなのです。
しかし、だからといって、むやみやたらに銀行からお金を借りればよいという話ではありません。会社が行っている業種業態によって借入依存度は大きく変わってきますし、会社が置かれている成長のステージによっても、当然、融資戦略は変わってきます。
例えば、不動産業やホテル業などのいわゆるハコモノ産業の場合には、どうしても最初に土地や建物への投資が必要になってきます。もし、これを全額自己資金で賄うとなると長い年月がかかってしまいますから、銀行融資の活用が不可欠です。
ですが、投下資本の回収には相当の年月がかかりますから、「借り方」だけでなく「返し方」を踏まえた融資戦略が重要なポイントになってきます。
それから、卸売業や建設業の場合は、売掛金や在庫(未成工事)が膨らみやすいですし、製造業の場合は、売掛金や在庫に加えて製造設備も必要となってきます。したがって、「運転資金」と「設備投資資金」を将来に向かってどのように回していくのか、財務戦略を持っている会社とそうでない会社とでは事業展開の幅に、圧倒的な差がでてきます。
その一方で、サービス業の場合は、比較的、「資産を保有しないと事業ができない」という性質のものではありません。したがって、もし、サービス業なのにも関わらず、なぜか運転資金を銀行融資に頼っている状態だとしたら、それは大いに問題があるということに気が付かなければなりません。
運転資金を銀行融資に頼らない状態にするという話をすると、多くの社長が、最初はこのような反応を示します。
「売掛金の入金期間や買掛金の支払期間なんて、変えられるはずがない・・・」
「ウチは長年手形取引でやってきているから、ここは動かしたくない・・・」
「在庫が滞留しているのはわかっているけど、これは変えられない・・・」
しかし、会社の内情をよくよく調べてみると、実際のところはそうではないものなのです。本当のところは、変えられないのではなく、「変わりたくない」「変えたくない」「自分がやるのは嫌だ」「銀行に貸してもらえばいいや」と無意識のうちに、社長自身が考えてしまっているものなのです。
まず、ここで断言できることは、どんな業種でも、どんな業態でも、そして、それが衰退産業であろうがなかろうが、周囲を見渡せば必ずどこかに上手くいっている会社は存在します。自社のお金の流れを、社長自らが意図して『善循環』になるようにすることで、銀行融資に頼らない状態を手にしている会社も多く存在します。
本当に面白いもので、強く永く勝ち続けている強い財務体質の会社の社長ほど、「もっと強い財務体質にするために、他にできることがないか?」ということを社長自身が自らのアタマで考え、実行しようとします。
そのような社長は、「○○のような方法はどうか?」「他社で面白い取り組みをしているが、ウチの会社にも導入できないか?」ということを常に考えます。
その一方で、常に銀行融資に頼っている弱い財務体質の会社の社長ほど、「そんな方法は、きっと無理に決まっている。」と、社長自身が自ら諦めてしまっています。そのコトバの裏には、「長年○○の方法でやってきたから、変えられるはずはない。」「そんな面倒なことはやりたくない。」という思考停止状態が見え隠れしているのです。
運転資金は、銀行も貸しやすいですし、今は融資環境も良好なので、無意識のうちに依存しやすいのもわかります。
しかし、会社の状態がひとたび悪化したり、あるいは経済情勢が大きく変動したりした場合には、あっという間にそのハシゴは外されてしまうという現実をよくよく理解しておくべきなのです。
銀行がお金を貸してくれなくなった時、その事実を嘆いても、それは「時すでに遅し」です。経営状態が良い時こそ、自社の会社のお金の流れを正しく把握し、財務中心の会社づくりをすることで強い財務を築き、銀行融資に頼らない状態を手に入れておくべきなのです。
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ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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社長と会社にお金が残る仕組みづくりの専門家
『ダイヤモンド財務®』のユメリアコンサルティング株式会社
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