【専門コラム】ダイヤモンド財務®の着眼点 資金繰り
あなたも「事業は順調なのに、お金が残らない…」「銀行借入が思うように減っていかない…」「経営判断に基軸がないから、迷ってしまう…」と悩んでいませんか?
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売上が過去最高でもお金が残らない会社の落とし穴
「舘野先生、ここ数年で売上はずいぶん伸びました。それなのに、なぜか資金繰りはいつもギリギリで、月末が近づくたびに通帳とにらめっこしています。売上が増えれば楽になると思っていたのに、一向に楽にならないのはどうしてなのでしょうか。」とある関東地方の2代目社長さんからのご相談です。
当社は、同族会社専門の財務コンサルティング機関(社長と会社にお金が残る仕組みづくり)なので、全国各地より、同族会社の社長さんから会社経営にまつわるお金の悩みのご相談が寄せられます。
実は、このようなご相談は決して珍しくありません。むしろ同族会社の社長の多くが、
「売上は増えている。」
「社員も増えた。」
「仕事も忙しい。」
という状況にもかかわらず、
「通帳残高を見るたびに不安になる…。」
「銀行から電話が来るとドキッとする…。」
「会社は順調なはずなのに心が休まらない…。」
こんな悩みを抱えています。
この記事では、売上が増えているのに資金繰りが苦しくなる会社の落とし穴と、売上に振り回されない資金繰りをつくるために社長が持つべき視点について、具体的に解説します。
なぜ売上が増えると資金繰りが苦しくなるのか
多くの社長は「売上が増えれば会社は楽になる」と信じています。だから 苦しい時ほど、もっと売上を上げよう とします。
しかし皮肉なことに、売上を増やした結果、資金繰りが苦しくなる会社は少なくありません。
なぜなら、「売上を増やすこと」と「会社にお金を残すこと」は、まったく別の能力だからです。
売上は会社を大きくします。一方で財務は会社を強くします。会社を永続させるために必要なのは、規模ではなく強さなのです。
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売上の増加と、お金が入るタイミングはズレている
商品やサービスを販売しても、その代金がすぐに現金として入ってくるとは限りません。多くの取引では、売上が立ってから実際に入金されるまでに、数週間から数ヶ月のタイムラグがあります。
一方で、その売上を生み出すために必要な仕入れや人件費は、入金よりも先に支払わなければなりません。つまり、売上が増えれば増えるほど、「先に出ていくお金」も大きくなります。
この入金と支払いのタイミングのズレが、資金繰りを圧迫する最初の落とし穴です。
利益が出ていても、手元にお金があるとは限らない
決算書の上で利益が出ていても、その利益と同じ額のお金が手元にあるわけではありません。「利益」と「現金」は、まったく別のものだからです。
利益は、売上から費用を差し引いた「計算上の数字」です。しかし、その売上の中にはまだ入金されていない売掛金が含まれていたり、税金を払ったり、借入金の返済をしたりしなければなりません。
「黒字なのにお金がない」という状態は、利益と現金の違いを理解していないために起こるのです。
黒字なのにお金が消えていく3つの理由
社長が最も混乱するのは「利益が出ているのにお金がない」という現象です。しかし実は、銀行は利益ではなく、最終的に手元にお金が残る会社を評価しています。
社員の給料も、仕入先への支払いも、借入の返済も、利益では払えません。払えるのは現金だけです。
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増えた売上の分だけ、入金待ちのお金も増える
売上が増えると、それに比例して売掛金、つまり「まだ回収できていない売上」も増えていきます。
帳簿の上では売上として計上されていても、その代金が実際に振り込まれるまでは、会社のお金として使うことはできません。
売上が伸びている会社ほど、この入金待ちのお金が膨らんでいます。
「売上は過去最高なのに、なぜか口座残高は寂しい」
という状態は、増えた売上の多くが売掛金として滞留していることが原因なのです。
借入の返済は、利益から見えない形で出ていく
借入金の返済は、資金繰りを圧迫する大きな要因です。注意しなければならないのは、借入の元金返済が損益計算書(PL)には費用として表れないという点です。
つまり、決算書の上では利益が出ていても、その利益の中から借入の元金を返済しているため、手元のお金は利益の額よりも少なくなります。
設備投資や在庫が、手元のお金を圧迫する
事業の成長に合わせて設備投資をしたり、在庫を多めに抱えたりすることも、手元のお金を減らす要因になります。
設備投資に使ったお金や、在庫として倉庫に眠っているお金は、すぐに現金化することができません。
成長期の会社ほど、このバランスを見誤りやすいので注意が必要です。
売上に振り回されない資金繰りをつくるために
売上が増えても資金繰りに苦しまないためには、社長が経営を見る「ものさし」を変える必要があります。売上の数字に一喜一憂する経営から抜け出すための考え方をお伝えします。
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売上ではなく「手元資金」を経営判断の基準にする
多くの社長は、毎月まず売上を確認します。しかし、ダイヤモンド財務の社長が最初に確認するのは、売上ではなく預金残高です。
なぜなら、会社が潰れるかどうかを決めるのは、売上ではなく現金だからです。
資金繰りに振り回される社長の多くは、売上を経営の最重要指標にしています。しかし、本当に注目すべきなのは、売上ではなく 「今、手元にいくらお金があるか」 です。
売上がどれだけ伸びても、手元にお金が残らなければ、会社の経営は安定しません。
逆に、売上が多少落ち込んでも、手元資金に余裕があれば、慌てずに次の手を打つことができます。
経営判断の基準を売上から手元資金へと移すことが、資金繰りの不安から抜け出す第一歩です。
財務の視点でお金の流れを管理する
手元資金を経営の基準にするためには、お金がいつ、いくら入って、いくら出ていくのかを、社長自身が把握しておく必要があります。これが「財務の視点」です。
「来月はいくら入金があり、いくら支払いがあるのか」「数ヶ月先まで資金は足りるのか」を事前に見通せるようになれば、資金繰りに追われることはなくなります。
財務を知らない社長が会社を潰してしまう
会社が潰れる原因は、売上不足だけではありません。資金繰りを見誤ることです。
だからこそ社長は、営業だけでなく、財務も理解しなければなりません。
財務が分かれば、
- 投資
- 採用
- 借入
の判断が正しくできるようになります。
ダイヤモンド財務の社長は、売上ではなく手元資金を経営の基準に据え、お金の流れを財務の視点で管理します。入金と支払いのタイミングを先回りして把握しているため、売上が増えても減っても、資金繰りに振り回されることがありません。
ガラス財務の社長は、売上の数字だけを追いかけ、お金の流れに目を向けません。売上が増えても、入金待ちのお金や借入の返済、投資や在庫に資金を圧迫され、いつまでも資金繰りの不安から抜け出せません。「売上さえ増えれば」という思い込みが、かえって会社を苦しめてしまうのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?
この記事の執筆者:舘野 愛(同族会社専門 ダイヤモンド財務®コンサルタント)
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