「資金繰りに追われる社長」と「先を見通せる社長」の財務の視点
「舘野先生、以前は支払い日が近づくたびに通帳の残高ばかり気にしていました。今は半年先までお金の動きが見えているので、夜ぐっすり眠れるようになりました。」とある北陸地方にお住まいの建設業を営む2代目社長さんから嬉しいご報告です。
この言葉には、資金繰りの本質が表れています。資金繰りの不安が社長から奪うのは、手元のお金だけではありません。
次の一手を考える時間、落ち着いて判断する余白、そして「この会社をもっと良くしたい」と未来に目を向けるエネルギーそのものが削がれていきます。
当社は、同族会社専門の財務コンサルティング機関(社長と会社にお金が残る仕組みづくり)なので、全国各地より、同族会社の社長さんから会社経営にまつわるお金の悩みのご相談が寄せられます。
毎月の支払いに追われ続ける社長と、数か月先を見通して落ち着いて経営できる社長。その違いは、売上の規模や業種ではありません。社長自身が「財務」の視点を持っているかどうかです。
この記事では、支払いに追われる経営から抜け出し、「今月をしのぐ経営」から「未来を選べる経営」へ変わるために、社長が持つべき財務の視点をお伝えします。
財務が会社の未来を描く
【無料メールセミナー】社長と会社にお金が残る秘訣
※登録後すぐ「同族会社だからできる!売上が1円も増えなくても、キャッシュを増やす方法」をお届けします。
事業が好調なのに、支払いに追われている社長は、決して怠けているわけではありません。むしろ、売上は好調なわけですから、毎日必死に働いています。
それでも資金繰りの苦しさが続くのは、見ている範囲が「今」に限られているからです。
「今月は払えるか」で頭がいっぱいになる理由
仕入れ代金、給与、借入の返済。支払いは毎月決まった日にやってきます。お金の動きを先まで把握できていないと、社長の関心は「今月を乗り切れるか」だけに向かいます。
そうなると、ひと月しのぐたびに、また次の支払いが迫り、同じ不安を繰り返すことになります。
本当に怖いのは、残高が減ることだけではありません。採用、設備投資、新規事業、価格改定、人材育成といった「重要だけれど、今すぐではない仕事」が後回しになり、会社の未来をつくる時間が失われていくことです。
経理・税理士任せでは、会社の未来は見えてこない
「お金のことは経理や税理士に任せている」という社長は少なくありません。もちろん、日々の記帳や決算、税務申告は専門家に任せて問題ありません。
その一方で、社長自身が経理と財務の違いを理解しておくことが重要です。
日々の記帳や決算、税務申告などは、経理担当者や税理士など専門家の力を借りることができます。
しかし、その数字をもとに「将来に向かって会社のお金をどう動かすか」を最終的に決めるのは社長です。
財務は社長のための実務です。事業永続のキーポイントになる財務を人任せにしている限り、会社の未来は社長自身にも見えてきません。
財務こそ社長に「先を読む力」を与える
【無料メールセミナー】社長と会社にお金が残る秘訣
※登録後すぐ「同族会社だからできる!売上が1円も増えなくても、キャッシュを増やす方法」をお届けします。
支払いに追われる状態から抜け出すカギは、財務にあります。財務というと難しく聞こえるかもしれませんが、要は「会社のお金をどう集め、どう使い、どう残すか」を正しく考え、コントロールする技術です。
会計は過去を記録し、財務は未来をつくる
会計は、これまで会社で起きた取引を記録し、経営の結果を見える形にする大切な役割があります。
一方で、社長に必要なのは、その数字を材料にして「これからどうするか」を決めることです。
決算書や月次の数字が「これまでの答え合わせ」だとすれば、資金繰り表や経営計画は「これから進む道を考える地図」です。
過去の数字を眺めるだけでは、未来は変わりません。数字から原因を読み取り、次の行動に変えて初めて、会社にお金が残る流れがつくられていきます。
数か月先のお金の動きが見えると、判断が変わる
財務の視点を持つと、「3か月後に大きな支払いがある」「半年後には設備の入れ替えが必要になる」といった先の動きが見えてきます。
先が見えていれば、資金が必要になってから慌てて動く場面を減らすことができます。前もって手元資金を厚くしておく、銀行に早めに相談する、支出の時期をずらすなど、落ち着いて選択肢を選べます。
未来が見えるからといって、不測の事態がなくなるわけではありません。
それでも、見通しを持つことで「追い込まれてから一つしかない手を選ぶ」のではなく、「選択肢があるうちに、自分で手を選ぶ」ことができます。
財務が社長に与えるものは、単なる安心感ではありません。経営の主導権なのです。
財務の実務を習慣にする
【無料メールセミナー】社長と会社にお金が残る秘訣
※登録後すぐ「同族会社だからできる!売上が1円も増えなくても、キャッシュを増やす方法」をお届けします。
先を読む力は、特別な才能ではありません。未来のお金を見る習慣を経営の中に組み込むことで、その力は鍛えていくことができます。
資金繰り表を「未来の地図」として使う
資金繰り表とは、毎月いくら入金があり、いくら支払いがあり、月末にいくら残るのかを一覧にした表です。大切なのは、過去の記録ではなく、これから先の予定を書き込むことです。
特に、資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違いを理解すると、未来を見る数字と過去を振り返る数字の役割がより明確になります。
資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違い|利益が出てもお金が残らない理由
作って終わりにせず、毎月実績と見比べて見通しを更新していく。そうすることで資金繰り表は、会社がどこへ向かっているかを示す「未来の地図」になります。
手元資金の目安を決めて、余裕を計画的につくる
「お金はあるだけ安心」という漠然とした考え方では、余裕は生まれません。「現金は多いほど安心」と考えるだけでは、具体的な行動につながりません。
一方で、「月商の何か月分」という一律の基準だけで判断するのも十分ではありません。必要な手元資金は、業種、固定費、借入金の返済額、納税、設備投資の予定、売上の変動幅などによって変わります。
自社にとって「最低限守る金額」と「目指す金額」を決める。そこから逆算して、利益、投資、借入、返済の方針を考えることが重要です。
目安があれば、今の状態が安全なのか、備えが足りないのかがひと目でわかります。その判断が、次の一手を早めてくれるのです。
数字を社長自身の言葉で語れるようにする
会社の数字を、自分の言葉で説明できるかどうか。これは先を読める社長かどうかを見分ける一つの目安です。
社員に方針を伝えるときも、銀行と話すときも、数字の裏付けがあれば説得力が大きく変わります。
財務を人任せにせず、自らの言葉で語れるようになったとき、財務は社長にとって本当の武器になります。
特に後継社長は、創業社長とは違い、ゼロからの船出ではありません。先代が築いた資産や信用を受け継ぐ一方で、借入金、社員、取引先、そして社長一族の将来まで背負って経営を始めます。
だからこそ私たちは、後継社長にこそ、財務を軸にした経営の仕組みを持ってほしいと考えているのです。
ダイヤモンド財務の社長は、会計の数字を過去の記録で終わらせず、財務の視点で会社の未来を描きます。資金繰り表で数か月先のお金の動きを見通し、手元資金の目安に向けて計画的に余裕をつくるため、支払い日が近づいても慌てることがありません。落ち着いて先を読み、次の一手を自ら選び取っています。
ガラス財務の社長は、お金のことを経理や税理士に任せきりにし、「今月をどう乗り切るか」だけに追われ続けます。先が見えないまま、支払いのたびに不安を抱え、場当たり的なやりくりを繰り返します。その結果、将来のことを考える余裕を持てず、会社の成長の機会を逃してしまうのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?